出典 公式サイト
莇と左京が共同開発したカードゲーム。
ヤクザの遊びは<<仁義王カード>>で決まりですね。
「マジ卍」と叫びたくなるほど、市販での販売を希望します。
A3の感動的なストーリーをオタ女子に届けたい。
7幕、16話~24話のネタバレと感想を書いていきます。
▼【7幕】1話~15話のネタバレはコチラ
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【7幕】ネタバレとストーリーの感想
第16話 芝居への興味
- シトロンの故郷に行っていた、綴の長男。
- エチュード練習を加えるが、莇の芝居に対する興味が薄くてーー。
「いつもシトロンさんがくれるのに似てません?たしか、ザフラ王国っていう島国で買ってきたって」
綴の長男は成果中を飛び回っていて、今回くれたお土産は民芸品。
民芸品はシトロンの母国で作られたものでした。
「数か月後に新しい王様の戴冠式があって、国中お祭り騒ぎになるから、その頃また行くみたいですよ」
言葉を重ねる綴をよそに、シトロンは少し様子が変です。
脚本化の里帰りは置いといて、公演に向け稽古をする秋組。
「今回は復讐がテーマなのと、人死にが多い。暗く見てる方は息が詰まるかもしれない」
雄三さんの勧めもあり、作品のアクセントとしてアドリブを入れることに。
さっそくエチュード練習をしますが、莇は即興劇に苦戦。
もともとお芝居が好きで劇団に所属したわけではありません。
あるのはクソ左京への対抗心のみ。
ぎこちない演技を向上させたい。
万里は、監督に話しかけます。
「エチュードが苦手っつうか、いまいち芝居に対する興味が薄いじゃん、アイツ」
「で、一成にちょっと話したら、いい案があるらしくてよ」
アゲてこ Hey DJ Zombie Run Night
ねえ、こっちにおいでよ。
ゾンビラン・ナイト。
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第17話 ゾンビラン・ナイト
- 夏組&秋組は、遊園地のゾンビラン・ナイトに参加。
- ゾンビ役の万里は、莇に演技の楽しさを伝える。
「……で、何でオレたちも一緒に来なきゃいけないんだ」
天馬の声から始まる、ゾンビラン・ナイト。
ゾンビラン・ナイトは、遊園地を丸ごと使った期間限定のイベントです。
なんでも、こわーいゾンビが参加者に襲い掛かって来るとかーー。
「ちなみに、ゾンビに捕まって、金網の監獄に閉じ込められると、外の誰かから助けてもらわない限り出られない仕組みだから注意!」
一成の脅し文句は、強がりビビリの天馬をビクつかせます。
付き添いの夏組。
ゾンビを通して演技のヒントを盗みたい秋組。
それぞれの結末は一体ーー。
一方で、ここは遊園地にある控え室。
万里はゾンビ役、莇はメイク担当でイベントを手伝っていました。
裏で準備を整えながら、万里は話しかけます。
「お前、芝居楽しいか?」
「なんだよ、急に」
「いいから」
「楽しむとか、そういうレベルじゃねー」
「経験も知識もねぇのに主演で、一から勉強しねぇといけねぇことばっかりで余裕ねーし」
「今日さ、お前もメイクしてゾンビ役やれよ。一人ぐらい増えてもばれねーだろ」
「俺が教えてやっからさ。演じる楽しさってヤツ」
「やあ、こんにちは」
「ねえ調子どう?」
「ーーとりあえず、ゾンビかな」
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第18話 リビングデッドの私怨
- 黒髪ゾンビ、莇が左京を襲う。
- 臣と莇の雰囲気がぎこちなくて険悪な空気にーー。
「隔離ゲート崩壊まで残り10秒……9、8、7、6」
アナウンスから恐怖のカウントダウン。
「3、2、1……0。隔離ゲートが崩壊しました。周辺の住民は直ちに避難してください。繰り返します……」
ゾンビラン・ナイト、スタートです。
うめき声とともに、万里ゾンビ登場。
茶色のサラサラゾンビによって、左京以外が全員捕まります。
残った左京はみんなを助けようとしますが、聞き覚えるのある声が聞こえました。
「俺は……お前の罪を……知っている」
「勝手に……寮の消耗品を……全部お買い得品に……変えている……」
「……シャンプーと……リンスを……薄めてる……ジュースも……」
黒髪ゾンビが空を切って、颯爽と左京の前に現れます。
クソ左京を掴まえた莇は、ノリノリです。
「誰かさんがゾンビに群がられるダセェところも見られたし」
「……なんつーか、初めてちょっと芝居が楽しいって思ったかも」
芝居でなら、クソ左京をやり込められる。
演じる楽しさを実感した莇は、顔の表情が柔らかくなっていました。
そして、ゾンビラン・ナイトは終了。
結果、劇団の全員が捕まっていました。
「ーー莇、手、擦りむいたのか?」
臣が心配して、絆創膏を貼ろうとしますがーー。
「だから、別にいらねえって言ってんだろ」
莇に強い口調で拒絶されました。
臣と莇の様子は、どこかぎこちなくて、不穏な空気が漂います。
ゾンビなんてダメですか?
黒髪ゾンビ好きなんですか?
彼氏候補にどうですか?
ーー要するに、泉田莇のことが「好き」
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第19話 気まずい距離
- ゾンビを演じた甲斐もあって、自然とアドリブが出るようになった莇。
- 臣も、実は家出経験者。
のびのびと演技を楽しみはじめた、莇
ゾンビラン・ナイトの一件もあり、自然とアドリブが出るようになりました。
ただ、あいかわらず気まずい空気が流れる二人。
臣と莇は、お互い対応に戸惑っていました。
夜、一人になった莇。
心配した九門が話しかけます。
「莇さ、なんか、臣さんのこと避けてね?」
「……避けてるっつうか、なんかあの人、どう接したらいいかわからねぇ」
このままでは先に進まないので、九門は臣を連れてきました。
ちゃんと話すんだぞ、と言い残して静かにこの場を立ち去ります。
臣を避けていたわけでなく、ずっともやもやしていた莇。
胸につかえた『何か』を言葉にします。
「ただ、どうしていいかわからないだけだ。なんか、アンタの構い方……親っていうか、母親みたいな感じだから」
「母親……?」
「男相手に変だろ。でも、なんか菓子作ってきたり、やたらとケガ心配したり、そういう感じがするから戸惑うんだよ」
「そうか……」
「俺、小さい頃に母親亡くしたから、そういう相手にどう接したらいいかわかんねぇつーか」
「左京とか親父はもっと雑だし、厳しかったからな。甘やかされたことなんてねーし」
「アンタに心配されたり、世話焼かれるのがむずがゆくてしょうがねぇのかも……」
胸につかえた『何か』を言葉にしてそれに応える、臣。
「俺の母親も、俺が小学生の時に亡くなったんだ」
「無意識に自分が母親を求めてて、演じてる部分があるのかもな。自分なりの母親像を」
「……俺の人生でたった一度の家出話、聞いてくれるか?」
九門の声一つで、こんなにも打ち解けてくれるなんて。
やっぱり九門は舞台に住む妖精なんだ。
……妖精に、意識しちゃったかも。
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第20話 ボーイフッドコラージュ5 / 伏見臣
- 臣のポートレイトを完全版でお届け!
自分を取り巻く環境が激変したことで、俺は早く大人にならなきゃいけなかった。
母親が死んで、親父は抜け殻のようになった。
かろうじて仕事は続けていたものの、表情や感情を失い、子供の世話も家のこともろくにできなくなっていた。
まだ幼い弟たちも、母親が亡くなったということを理解できず、ただ不安がっていた。
男四人になった家庭にはいつも暗い雰囲気が漂っていて、いつ壊れてもおかしくない危うい均衡を保っていることが、子供ながらにわかった。
長男である自分がしっかりしないといけない。
そう思って、親父に家のことを全部任せてほしいと申し出た。
洗濯や掃除のやり方、包丁の使い方も味噌汁の作り方も、がんばって一から覚えた。
毎日学校帰りに夕飯の買い出しをして、帰って掃除、洗濯、夕飯作り。
それが終わったら、翌朝の親父の弁当の仕込みをして……。
小学校の放課後は、習い事もクラブ活動もせず、友人からの誘いも断って、ひたすら家事に明け暮れた。
そんな日々が続いたある日、自分の中で突然プツンと何かが切れた。
きっかけはささいなことだ。
弟が俺の作った夕飯を食べずに、お母さんのごはんが食べたいと言い出した。
母親を恋しがるのは当然だ。
いつもなら、あやすことができたのに、その時、俺は何も言うことができなかった。
翌日の放課後、母親がよく作ってくれた肉じゃがを作ろうと材料を買って、家に帰ろうとして、足が止まった。
俺は買い物袋をぶら下げたまま、家と反対方向にひたすら歩いた。
たどり着いた河原に座り込んで、ただ沈んでいく夕日を眺めてた。
(今頃親父や弟たちはどうしているだろう。腹を空かせてないか……)
(でも次男はよく宅配ピザが食べたいと言っていたから、みんなでピザでもとってるかもしれない)
そんな妄想をしてると、自分のしてきたことがバカみたいに思えてきた。
クリーニングに出せば、シワ一つなく洗濯してもらえる。
料理だって、今の俺が作る飯よりコンビニ弁当のほうがうまいだろう。
それなのに、毎日バカみたいにがんばって、やりたいことガマンして……そんなこと考えていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。
肩をゆすられて目を覚ますと、目の前に目つきの悪い少年がいた。
「……なぁ、お前も家出?」
同い年くらいのその少年は、那智と名乗った。
隣の学区の小学校に通っているらしい。
「俺も家出でさぁ。まあいつものことなんだけど。うちの親、遅くまで仕事してていねーから」
「いつも家出してんの?」
「もう二桁はいった。マジ、プロだから色々教えてやるよ」
家出のプロだと豪語する少年がおもしろくて、俺はつらつらと家出をした理由を話し始めた。
「いんじゃね?好きなだけサボれば」
「でもさ……」
「今まで休みなかったんだから、いくらサボっても文句言われねぇよ。やりたくなっら、またやれば?」
那智のあっけらかんとした言葉に、衝撃を受けた。
「しょーきゅー二日制って知らねぇの?」
どや顔で言い間違えるのがおかしくて、思いっきり笑った。
ひとしきり笑ってから、本気でサボりたいのかと言われれば、別にそうでもないことに気づいた。
親父が仕事に没頭するように、俺は家事に没頭することで母を亡くした悲しみを一時忘れることができた。
家族のためにがんばることで、天国の母に必死で呼びかけていたのかもしれない。
俺たちは俺たちだけで大丈夫だと。
心配しなくていいと。
そうすることで、同時に自分の心をなぐさめていたんだと思う。
「好きなだけサボるのは、もうちょい後にする」
「なんで?」
もしこの先、弟が大きくなって、親父の心配もなくなって、本気でサボりたいと思える時が来るかもしれない。
多分その時は、天国の母親が安心したから休んでいいと言ってくれる時なのだろう。
だから、その時までは……。
「そん時は俺も付き合ってやるよ」
那智はそう言って歯を見せて笑った。
那智と別れて家に帰ると、深夜だというのに、親父も弟たちも寝ずに待っていた。
そして、靴を脱ぐなり親父に、ずっと家事を任せっきりにしてごめんと謝られた。
何かコンビニで買ってくると言われたけれど、もったいないから買ってきた晩飯用の食材で夜食を作った。
その時作った味噌汁が会心の出来で、弟がお母さんの味だと言った。
それからみんな無言で味噌汁を飲みほした。
その日から、父親は少しずつ笑うようになって、弟たちも家事の手伝いをしてくれるようになった。
家に充満していた沈んだ雰囲気は少しずつ薄まっていった。
それきりすっかり忘れていた家出のプロと再会したのは、高校生になってからだ。
俺は家出のおかげで、家族の絆と唯一無二の親友を得た。
出典 A3 / 臣のポートレイトより
「俺が母親みたいだっていうのは、家の中で俺が俺なりに理想の母親ってやつを体現しようとしていたからだと思う」
「MANKAI寮って、衣食住を共にしてる一つの家族みたいだろ?だから、年下の奴には、無意識に弟みたいな構い方をしちまう」
過去を思い返して、本音でぶつかる臣。
アンタはそのままでいい。
莇から帰ってきた言葉は、とても嬉しいものでーー。
ただ、莇はどんな反応をしていいかわからなかっただけで、嫌なわけじゃなくて。
進行中の家出少年と、元家出少年。
ふたりの間にあるしこりは解消され、ぎこちない空気は消えていきました。
俺、今日からオカン宣言!
宜しければ名前だけでも覚えてって下さい。
愛してね、日本一のオカン、伏見臣。
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第21話 反抗の理由
- 新公演のアンデット衣装が完成。
- ピリピリとした雰囲気の莇と左京。
幸が新公演の衣装を完成させます。
さっとく舞台と同じ格好をして、ストリートACT。
お客さんのウケがよく、新公演への期待が高まります。
ただ、莇と左京の間には殺伐とした空気が流れてーー。
「ーー俺、こんなムカつく奴と一緒に舞台立つとか、マジ無理だわ」
「だったら辞めろ!好き嫌いで舞台に立つ立たねぇを決めるような、いい加減な奴はいらねぇ」
カッとなった左京は、頭を冷やします。
「……あいつが俺を憎むのは、当然だ」
ほんとは莇だって気づいている。
親代わりに面倒をみてくれた左京の気持ちに。
これっていわゆるツンデレルート攻略中?
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第22話 目付け役
- 昔の坊を思い出す、左京の回想。
……銀泉会に入った俺がまず任されたのが、会長の息子である莇の目付け役っつーか、世話係だった。
母親が亡くなってから塞ぎがちだった莇は、俺が銀泉会に入る前に一度家出して、大騒ぎになったらしい。
アイツがまたそんなヤンチャをしないように見張っててくれって頼まれて、俺は四六時中アイツについて回ることになった。
身の回りの世話をしたり、そろばんを教えたりしてるうちに、アイツも徐々に俺に言い返すくらい元気になっていった。
口答えはするものの、兄弟みてぇな感じでな。
色々話をしてくれるようになった。
「なあ、絶対に誰にも言うなよ?俺さ、将来メイクの仕事がしたいんだ」
「ヤクザの息子がメイクの仕事なんて女々しい夢、叶えられるわけねーよな。諦めた方がいいってわかってんだけどさ……」
俺はそう話すアイツの姿に自分自身を重ねちまった。
役者の夢を諦めて、MANKAIカンパニーに背を向けて、ヤクザの道を進んだ俺自身の姿を……。
「いいか莇。夢があるのはいいことだ」
気づいたらそう言っちまった。
恩人である会長からも、莇を立派な跡目として育てたいっていう夢を聞いていたのに……莇の夢を否定することはできなかった。
「俺にも、到底叶うとは思えねぇ夢がある、それでも、決して捨てたりはしない」
叶う望みがなかったとしても、一生捨てることはねぇ……。
そう言った俺に、莇はほっとしたように笑ったよ。
「いつか、一緒に夢を叶えたいな」
出典 A3 / 幼少期の莇と左京
「俺は、アイツの夢が叶う見込みも少ないのに、自分と重ねて無責任に励ましちまった」
「しかも、結局俺だけ一人、勝手に夢を叶えちまったんだ。アイツに憎まれてもしょうがない」
本心では夢を応援したいのに、会長と莇の板挟みで苦しんでいました。
「左京さん、まずは莇くんとちゃんと話しましょう」
総監督の命令で、やっと重い腰を上げる気になります。
コチラにも悩めるヤクザの姿がーー。
「……なぁ、あざみ。アニキと一回ちゃんと話せよ」
「ほんとはわかってるだろ?アニキが昔から、アザミのこと、どんだけ大事にしてたか」
迫田は話しかけますが、莇には響きません。
「……昔はどうか知らねぇけど、今は違うだろ。自分のやりてーことだけやって、俺のことなんて放置じゃねーか」
メイク道具を通販で買っていた、莇。
左京は、怪しむ会長を「莇も年頃だから~」と言ってごまかして、密かに夢を応援していました。
思春期大作戦のおかげで、今まで莇の夢がバレることはなくて。
それでも、莇はどうしてもクソ左京のことが許せません。
始めまして、ヤクザのご子息さん。
3次元から貴方を励ますために、いまこうして文字を書いています。
左京が命に代えても守り抜いてくれるから、だから夢、諦めんな。
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第23話 仁義王
- 莇が交通事故に遭い、慌てた様子で駆けつける左京。
- ヤクザの坊が作った手書きの仁義王カードとはーー。
「莇が……!莇が交通事故に遭って……!」
突然、九門から電話が入ります。
左京は動揺して足を滑らし、落ちた自身のメガネを踏む始末。
急いで病院に駆け込みます。
そこに元気そうな莇の声が聞こえてきてーー。
出典 A3 / アプリ内スチル
「避けたときに壁に腕擦っただけ。かすり傷で済んだ」
運動神経がいい莇は、車との衝突を避けていました。
相手の車は何も言わずに走りさっていましたが、気にしないと莇は言います。
それに反し、強い口調で怒りをぶつける左京
「いいわけあるか!」
「ケガさせられたのは事実だ。きっちり落とし前はつけさせる」
壊れたメガネに、よれよれのスーツ。
左京は莇のことが心配で、身支度をする余裕なんてありませんでした。
「……心配しちゃわりぃか。俺にはもうその権利もねぇか」
動揺している莇に、思わず言葉を漏らします。
「ど、どうせ、仁義王カードの効果だって忘れてるだろ」
昔の思い出を確かめるように莇は問い、全部覚えてると左京は答えます。
「……じゃあ、【仁義の森ガーディアン】は?」
「攻撃力2500、守備力1700。墓地に送られたときに相手の手札を任意で2枚墓地へ道連れにする」
「【黒刃の鉄砲玉は?】」
「攻撃力1700、守備力800。相手モンスターの攻撃力をターン終了時まで半分にする」
よく遊んだ手書きのトレーディングカードを覚えていることに、莇は驚きを隠せません。
莇が絵を描き、左京が説明文を書いて完成させたカードです。
出典 A3 / 仁義王カード
仁義王カードは左京にとっても思い出深いカードで、だせぇ昔話をします。
「お前と作ったカードは2代目。俺が一番最初にカードを作ったのは……母親とだった」
仁義王カードで遊んだのはいつだっけ?
10年前の春だっけ?
とりあえず、誰か商品化してください。
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第24話 ボーイフッドコラージュ6 / 古市左京
- 左京のポートレイトを完全版でお届け!
俺の家庭環境がいわゆる『普通』とは違うってことを理解したのは、小学校の頃のことだ。
運動会の親子リレーでクラスメイトはみんな父親と参加する中で、うちは母親が参加した。
夏休みにみんながどこへ旅行に行った、放課後は習い事で忙しい、ゲームや服を買ってもらったという話を聞くたびに、自分の家との違いを認識させられた。
欲しいものをガマンすることは当たり前だったし、誕生日ですら予算を気にしてプレゼントのリクエストをした。
母親も俺の比でないくらいガマンして、苦労していただろう。
それがわかっていたから、不満を口にすることはなかった。
ただ、クラスメイトは俺が『普通』とは違うことを感じ取って、少しずつ遠巻きにするようになった。
俺自身、同世代のクラスメイトたちを子供っぽいと見下していて、自分から距離を置いた。
本当は一緒に遊びたい気持ちがあっても、それを素直に認めることができなかった。
そんなある日、親切なクラスメイトが話しかけてきた。
なんとかっていうカードをやってるか、って聞かれた。
カードの名前なんてもう覚えちゃいない。
その頃クラスメイトの男子が休み時間になるたびに集まってやっていたような、流行りのカードゲームだ。
やってない、と答える前に、周りのクラスメイトが割り込んできた。
気遣うような、あざけるような、そんな口ぶりでやってるわけがない、かわいそうだから誘うなと、ささやかれたのが悔しくてしょうがなかった。
今まで、自分の家庭を恥ずかしいとか、不幸だとか思ったことは一度もない。
今時、シングルマザーなんて珍しいものでもないし、母親との暮らしにも満足していた。
それでも、その時目の当たりにした、自分たちに向けられる世間の目に対して、俺は何も言い返せなかった。
放課後、手持ちの小遣いをかき集めて、おもちゃ屋へ向かった。
俺はかわいそうなんかじゃない、カードくらい買える……そう思って、五枚入りのカードを一パック買った。
小遣いを自分のためだけに使ったのは初めてで、家に帰るまでドキドキしたのを覚えてる。
クラスメイトの話してた最強のドラゴンカードが当たってるかもしれない。
明日、教室で自慢できるかもしれない……。
普段まともに話さないクラスの男子たちが自分の周りに集まって来るのを想像して、むずがゆくなる。
家に帰っていざ開封すると、とんだザコばっかりで、当然最強のドラゴンカードなんて入ってない。
カードパック裏の説明を呼んで、そもそも四十枚ないとデッキが完成しない、ゲームに参加することもできないと知って絶望した。
母親からもらったなけなしの小遣いで、俺は何してんだって悲しくなった。
小遣いは、本当に欲しいものができた時に大事に使うように言われていた。
それが、あんなくだらねぇカードに使っちまって……。
本当はちゃんと貯めて、母の日のプレゼント代にしたかった。
それなのに……。
母親に合わせる顔がないと思った。
無駄遣いした悔しさや、クラスメイトに対する嫉妬。
自分の家を恥じてないはずなのにそんな感情を抱く自分も情けなくて、母親に申し訳なくて、どうしたらいいかわからなくなって……。
気づいたら、家を飛び出していた。
あてもなく歩くうちに、あたりが真っ暗になっていく。
母親がパートから帰って来る時間もとうに過ぎていた。
今頃どれだけ心配してるだろうって怖気づいた時、遠くから母親の声が聞こえてきた。
パート帰りで疲れるだろうに、俺のことを探させてしまった。
そのことが申し訳なくて出ていくと「ごめん」と抱きしめられた。
家出したことは咎めらずに、そのまま一緒に帰ると、母親が手書きの手作りカードを作ってくれた。
ちゃぶ台の上に置いてあったカードパックを見て、俺がカードを欲しがってると勘違いしたんだろう。
とっさに違うと、ただクラスメイトに哀れまれるのが悔しかったからだと言おうとした。
でも「結構よくできてるでしょ」と得意げな母親を見て、そんなことはどうでもよくなった。
どんなカードが欲しいか言われて、最強のドラゴンと答えた。
答えるたびに母さんは、想像で新しいカードを書いてくれた。
カードの効果や能力を決めたのは俺。
金のかからない遊びだ。
でも、真心がこもっていた。
それから、手作りのカードで何度も何度も母さんと遊んだ。
いつしか遊ばなくなってもそれは捨てられなくて、ずっと取ってあった。
俺はあの日家を出て、自分の弱さと何にも代えがたい母親の愛情を知った。
いつか、自分の力でその恩を返そうと決めたのは、あの時だ。
出典 A3 / 左京のポートレイトより
莇も左京と同じで、友達と仲良くなるためにカードゲームを買っていました。
会長に見つかって捨てられこそしましたが……。
左京の提案により、自作の極道カードを作ることにします。
それが、<<仁義王カード>>
莇の夢を全力で手助けする、左京は覚悟を決めたように話します。
「たとえ親でも、自分以外の人間の夢のために、自分の夢をあきらめるな。お前自身の人生だ」
左京の想いが伝わり、ギクシャクした空気はいつの間にか消えていました。
忘れない、ヤクザの坊が作ったカードゲーム。
莇と左京の思い出を繋ぎ合わせたカードは、マジ卍。
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仁義を貫くカードゲームに期待
イケメン役者育成ゲーム、A3!
スピンオフとして、仁義王カードで遊べるゲームとかリリースされないかしら。
遊戯王より、ヒットしそうな予感。
ジャンルは、『仁義を貫くカードゲーム』で決まりですね。
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