出典 【A3】公式サイト
ボリューミーなA3のストーリーをまとめ隊。
2部もついに佳境に入ってきましたね。
忙しい人のために、ストーリを細かくまとめました。
ネタバレと共に、5幕の感想を書いていきます。
▼前半を見ていない方はコチラ
千景と密の過去が明らかになる、後半戦をご覧ください。
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A3!5幕のネタバレと感想
第16話 個人間契約
親睦を深めるために、舞台の上で寝ることになった春組のメンバー。
ワクワクするメンバーをよそに、ライフラインのコンセントを確保する、至。
賑やかなメンバーとは裏腹に、千景の姿は見当たりません。
心配する空気が流れる中、至に一通のLIMEが届きます。
「今、先輩からLIME入った。急な仕事が入ったって」
綴はガッカリしたように、言葉を発します。
「絶対ウソですよね」
一方で、千景と交わした契約を思い出す、至。
「……実はさ、先輩が寮に入るとき、契約したんだよね」
- 俺の寮内での自堕落な暮らしを外部に漏らさないこと。
- 俺のゲームへの没頭を邪魔しないこと。
- 俺の完璧な室内電気配線を乱さないこと。
- 俺のゲーム機器及びPCの配置を動かさないこと。
- 動画撮影中は入室禁止(主に平日夜十時から十二時)。
今まで一度も寮で寝ておらず、毎日、早朝に戻って来る千景。
同室の至は、今まで感じた心のもやもやを話します。
千景と仲良くなるために、ここぞとばかりに作戦会議をする春組メンバー。
舞台上の話し合いは、夜明け頃まで響くのでした。
君に、この作戦会議が届きますように。
金色のガッシュベルも、千景を心配してんだかんね。
千景との大切な未来を守りたいゾ。
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第17話 家族の肖像
「仲良くなるには、やっぱりイタズラネ!第一弾辛ぇ~!作戦を決行するヨ!」
シトロンが考案した『辛ぇ~作戦』
自分のスパイスを持ち歩くほどの、辛い食べ物が好きな千景にイタズラを仕掛けます。
千景のカレーに、こっそりと激辛スパイスをトバッ。
シトロンの国に伝わる伝統的な香辛料です。
「いい加減にしてくれるかな?」
「食事に何か混ぜられるのは好きじゃない」
千景は、何事もなかったかのように冷静に怒ります。
顔色一つ変えずに、カレーを完食して。
反省した春組メンバーは、エチュードを通してを謝罪します。
「千景さんとも、家族みたいに深いつながりを持ちたいと思っています」
即興劇が終わって、咲也は本音をポツリとこぼしました。
(家族だって……?ふざけるな。俺の家族は……だけだ)
心の中で、怒りを沸騰させる千景。
「……能天気な奴らだな。お前の家族とやらは」
「早く、お前の犯した罪のすべてを思い出せ。……手遅れになる前にな」
純度100%の闇を、密にぶつけます。
「……オレは、思い出すのだろうか。……オーガスト」
「眠るのが……怖い」
一人で思い詰める、密。
過去のトラウマを思い出すのが怖くなり、眠ることにためらいを覚えます。
はい!シトロンの国に伝わる伝統的なスパイスでグッズ化を希望。
ロシアンシュークリームで、激辛を体験したい。
熱狂的なファンによる、激辛シュークリームを争奪戦が始まるな、これは。
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第18話 倍返し
密の回想から、過去が語られます。
10月19日。
オレたちはアジア圏での任務を任された。
エイプリルは、日本の商社に潜り込み、オレは某国の組織に二重スパイとして潜り込み、日本での潜入活動を行うことになった。
日本に潜入する二人のために、オーガストは名前を考えてくれた。
御影密……オーガストがつけてくれた偽名は、不思議なほどしっくりくる気がした。
「エイプリルは辛いものばかり食べるから、そんな風に性格がねじ曲がって辛口になっちゃったんだね」
冗談まじりにからかう、オーガストの声。
ここから記憶が途切れて、密は別のシーンを思い出します。
鮮血が、目の前に飛び込んでくる。
(追手が来る。ダメだ、薬を飲まなきゃ……)
ペンダントを引きちぎる手が震える。腕の中でオーガストが何か言ってる。
時が流れ、ここはMANKAIカンパニー。
「どうも、密くんの様子が少しおかしいんだよ」
「以前よりもマシュマロの消費量が少ないし、所かまわず眠らなくなった」
誉は、密の変化に気づいていました。
「第二回公演の時の密くんのお節介を、倍返しにする時が来たかもしれない」
保護者のような優しい企みを巡らす、誉。
一方で、地下室で調べごとをする一人の姿がーー。
「かつての劇団の離散の原因は主催の失踪、か……。だとすれば、精神的支柱である『監督』を失えば、また……」
「明日の劇団員たちの予定は……」
「そろそろ頃合いか」
怪しい計画を企てる千景は、何を実行する気なのか。
千景の闇が深すぎるゾ。
ダークヒーローに恋する乙女ですが、何か問題でも。
千景のためなら、赤いヒールが似合う女王様にだってなるよ。
(作品が変わるっちゅーねん)
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第19話 突然のデート
「たまには監督さんと親睦を深めようと思ってね」
珍しく優しい千景は、監督さんとお出かけします。
女嫌いなのに、二人きりで出かけることに不信感を覚える監督さん。
あちこちと色々なお店に連れまわす、千景。
二人きりのデートのようなお出かけは、多くの劇団の仲間たちに目撃されました。
「危ない、車が来てるよ」
わざと密着して、周囲に誤解を与える千景の行動。
「……はあ。このくらいでいいだろ」
さりげない恋人アピールは、冷たい言葉と共に終わりました。
お出かけの締めは、監督さんの希望でカレー屋さん。
「今、写真撮ってましたよね、その、スプーンで一杯すくった瞬間の写真、ちかウサさんの特徴なんです!」
ちかウサのブログを全記事も読む監督。
同じカレー星人として、激辛レビューをするブログに親近感を感じていました。
「カレー仲間と友達になりたい」そう抱いていた相手は目の前に。
「……あはは。千景さん、きっと辛いものばっか食べてるから、そんな風に性格がねじ曲がって辛口になっちゃったんですね」
監督さんのさりげない一言が、過去に言われたオーガストの言葉と重なります。
何も知らない監督さんは、水をゴクリ。
その瞬間、ものすごい眠気を感じて意識を失います。
「相手に何か混ぜさせる隙を作っちゃダメだよ、監督さん」
千景は、ニヤリとほくそ笑みます。
車に連れ込んだ監督さんに向かってーー。
事件です!監督さんが、お持ち帰りされました。
テイクアウトOK。
これって、フィクション?
それとも……ノンフィクションなの??
恋のまにまに事件簿。
いざ、開幕です。
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第20話 出られない部屋
「あの、すみません、私、カレー屋さんで眠ってしまったみたいで……」
薄暗い地下室で目が覚める、監督。
「キミは眠ってしまったんじゃない。眠らされたんだ、そして今、軟禁されている」
それは、千景の衝撃的な告白でした。
劇団が潰れ次第、解放してあげるとささやく千景に対して、監督さんは反論します。
「春組の新公演に向けての稽古はどうするの」
監督の悲痛な訴えにも、聞く耳を持たない千景。
「ちなみに監督さんは俺の海外出張について行ってるってみんなにLIMEで連絡しといたから」
「駆け落ちでもしたと思われてるんじゃない」
監督の心配をよそに、淡々と状況を説明する千景。
劇団を潰そうとする動機を探すため、問いかけます。
「……千景さん、もしかして密さんの過去について何か知ってるんですか」
冥土の土産と言わんばかりに、過去に何があったのか話す千景。
「……あいつはかつて、俺と同じ組織に所属していた」
「それなのに、あいつは組織を裏切り、今ここで一般人としてのうのうと暮らしている。俺はそれが許せない」
自由な芽を摘み取ったアイツは許さない。
密への怒りを言葉の節々に詰めながら、言葉を紡ぎます。
「俺は、あいつに復讐するためだけに、MANKAIカンパニーに入ったんだ」
「あいつのせいで、俺は……唯一無二の家族を失った」
その言葉を聞いて、密のある言葉を思い出します。
「オーガスト……ごめんなさい」
恋のまにまに事件簿が始まりましたね、
第1話、千景との駆け落ち。
愛とか夢とか理想とか、それよりも『恋のまにまに/2話』が気になる。
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第21話 もう二度と
「この監督のLIME、ちょっとおかしいよね。春組の公演について何も書かれてないし、監督らしくない」
二人の失踪の動揺する、劇団メンバーたち。
「何か事情があったんじゃないか」
不穏な空気を切るように、丞が言葉を紡ぎます。
演劇バカの監督さんが、公演を投げ出すのはおかしい。
何かの事件に巻き込まれた可能性を示唆に入れ、劇団のみんなで話し合っている時ーー。
「……ともかく、ここで話し合うべきなのは、春組の公演をどうするかってことだ」
左京さんの雷が落ちます。
「でも、こんな状態で公演なんてやるべきなんでしょうか。新しい春組がそろった状態じゃなきゃ意味がないと思います」
咲也は、やり場のない気持ちをぶつけます。
「…待ちましょう」
空を切るように、支配人の力強く大きな声が響きました。
「待ちましょう!待つべきです!こういう時は何が何でもどうにかこうにか石の上にも三年、待つしかないんです」
支配人は、過去の劇団の失敗からみんなを説得します。
「今は、信じて待ちましょう。春組は公演初日まで、今まで通り稽古を続けるべきです」
何かあったら全責任を負うと、今までにない男気を見せる支配人。
鼓舞されたメンバーたちは、稽古を続けることにします。
二人が戻ってきたときに完璧な演技ができるように。
主役の代役は、他の組から交代で人を出すことになりました。
稽古は雄三さんが見てくれるように、これから説得です。
一方で、軟禁生活二日目を送る、監督さん。
三食カレーを提供してくれる千景のはからいにより、快適な生活を送っています。
「千景さん、いつもPCで何しているんですか?」
退屈な監督さんは、話しかけます。
言葉を返さない千景。
「あなた様はどちら様ですか?」
「千景さん、私がオズ以外の役をやるので、一緒に稽古しませんか」
監督さんの言葉だけが、無機質に部屋へと響き渡ります。
一人で稽古をする姿に、思わず言葉を漏らす千景。
「……信じられない大根役者だな、キミは」
監督さんは、すかさず言葉を返します。
「じゃあ、見本をみせてください」
「……断る」
やむを得ず、稽古を一人で続けます。
「俺は魔法使いなんじゃない。今までの返信した姿というのはただのハリボテだ。この頭も」
見るに堪えない稽古にセリフの間違いが相まって、千景は間違いを指摘します。
「……『インチキ』だ」
千景は、セリフをしっかりと覚えていました。
感動する監督をよそに、舌打ち音がグラデーションで沈みます。
もしも、願いが叶うのならば、監督さんの大根役者っぷりが炸裂する生音声が聞きたいですね。
ボイスがないヒロインの声が、気になってます。
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第22話 インソムニア
軟禁生活5日目。
いつもPCに向かって作業をしている千景は、あまり睡眠をとっていませんでした。
密と対比しながら「寝たほうがいい」と諭す、監督さん。
「……あの寝太郎と一緒にするな。あいつは特殊なんだ」
千景は、他人と一緒だと絶対に眠れないと言葉をこぼします。
寮生活をしている時も、毎晩アジトに戻って一人で寝ていました。
千景を気遣い、しばらくお風呂に入っているから、その隙に寝るように勧めます。
「……お節介な奴だ。この劇団の奴は、どいつもこいつも……」
MANKAIカンパニーに心底呆れる、千景。
一方で、密は失踪事件を一人で解決しようとします。
「最近の密の様子がおかしいのと、今回の件が何か関係あるんじゃないかと思ってね」
心情を察したように寄り添う、誉。
他の冬組メンバーも集まり、密を心配していることを伝えます。
「密くん、一緒に背負わせてくれないかな」
仲間の優しさにふれた密は、今まで黙っていたことを話し始めました。
「……オレは、千景がカントクを連れて行った場所がわかるかもしれない」
「……記憶をなくす前、オレはずっと千景と一緒にいた」
自分を責めるように、言葉を重ねます。
「……千景はオレのことを恨んでいる。だから、カントクを連れ去ったんだ」
「……眠れば、千景の居場所を思い出せるかもしれない。でも、許されないオレの罪まで思い出してしまうかもしれない」
思い出すのが怖いと、気持ちを漏らします。
「その罪は、どの程度の重さかね?」
誉の優しい声が聞こえてきて、それに答えるように東も続けます。
「五人で背負えば、ちょうどいいくらいかな」
そのセリフを聞いて、安心して眠ります。
眠っている子供をあやすように、密に語りかける仲間たち。
「目が覚めたときも、キミのそばにいると約束しよう」
私は懺悔します。
夏組推しなのに、冬組推しになりかけました。
冬組がみんな優しくて、お母さんは嬉しいよ。
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第23話 目覚めた時に
密は、夢の中で全てを思い出します。
オーガストが助からないなら、オレもここで死ぬ。
どのみち、もう逃げきれない。今がこの薬を使う時だ。
「無駄…だよ……」
「オーガスト……?」
「その薬はね……」
やがて、密は目が覚めます。
揺るがない決意を言葉に変えて、仲間たちに報告します。
「昔、オレは千景と……千景たちと一緒に暮らしてたんだ。たぶん、あいつはそこにいる」
「……なくした記憶への、決着をつけてくる」
密は一人で、過去のけじめをつけにいきます。
温かく見守る冬組を背にして。
すやすやと眠れて良かったね。
even if it’s over 寝太郎!
密は、ずっと夢の住人だよ。
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第24話 告解要求
地下室に閉じ込められた監督さんは、一人で新公演の練習をします。
千景が目ざわりな大根役者にうんざりしているとーー。
「千景さんが稽古に付き合ってくれたら黙ります」
「……一回だけだからな」
こうして、少しだけ稽古に付き合います。
「どうせ舞台には立たないんだから、稽古しても意味ないだろう」
千景の説得は失敗に終わります。
絶対に舞台に立たせてみせると豪語する監督さんには、通用しませんでした。
「……本当に馬鹿だな」
ふいに見せた千景の優しい笑顔に、感情で会話をした気がします。
もうすぐ公演初日。
気持ちだけが先走る監督さんに、訪問者が現れます。
「今さら何をしに来た」
「……思い出した、すべてを」
「それで」
「…話をしに来た」
目の前にいるのは、密。
監督さんを助けるために組織のアジトに乗り込んできました。
「さあ、罪を告白しろ。お前を裁くのはそれからだ」
「あの日ーー……」
千景の声を合図に、密は過去に起きたことを話します。
もう、あれですよね。
絶対ヒーロー改造計画 by 密!
目をつぶって絶望に包まれても、助けに来てくれる密。
今、人生で一番輝いているよ。
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第25話 あの日
オーガストが入手した情報も計画も完璧だった。
何の問題もなくターゲットのビルに潜入して、データをコピーして帰って来るだけの簡単な任務のはずだった。
でも、潜入計画自体が漏れていた。
待ち構えていた相手に囲まれて、逃げる途中、オーガストが銃弾を受けた。
オーガストに肩を貸してなんとかビルを逃げ出したけど、敵は巧妙にオレたちを誘導して、逃げ場のない断崖に追い込んだ。
「僕はもう助からない。一人で逃げるんだ、ディセンバー……キミの能力なら、ここから飛び込んでも浜まで泳ぎつける」
「……ダメ。絶対に置いて行かない」
「逃げろ、キミだけでも……」
「ヤダ!死ぬな!」
「僕は、もう……」
「オーガストが助からないなら、オレもここで死ぬ」
オーガストの瞼が閉じた瞬間、震える手でペンダントを引きちぎって、薬の瓶を開ける。
「無駄……だよ……」
飲み干した瞬間、オーガストがわずかに笑った。
「オーガスト……?」
「その薬はね……僕がすり替えた……二人の薬は、一時的に記憶をなくす薬……」
「え……?」
薄れゆく意識の中で、オーガストが途切れ途切れにそう説明した。
「組織に誘ったのは僕だから、何があっても二人を死なせたくなかった……組織や僕のことを忘れて、新しい人生を……」
「オー、ガスト……」
どういうことなんだと言おうとした口は、もう開くことができなかった。
頭がぐらぐらしてふらつくオレの体を、オーガストが崖から突き落としたから。
「生きて……」
「ーーっ」
反転する視界に映った満月が妙に綺麗で、後悔と共に網膜に熾烈に焼き付いた。
冷たい海に体を叩きつけられて、息苦しさで一気に目が覚める。
あとはただ無我夢中で泳いだ。
オーガストが最後に行った言葉だけが、頭の中を支配していた。
ようやく、浜まで泳ぎつくと、オレは力尽きて意識を失った。
そして、目が覚めたときには……何も覚えていなかった。
出典 【A3】5章/あの日 密の回想シーン
「お前が、殺したんだ!組織を、裏切って、オーガストを罠にはめてーー!」
嘘をつくなと激昂する千景は、組織に密が裏切ったと言いくるめられていました。
「……その方が本当の裏切り者にとって都合がいいから。裏切り者はきっと、今も組織の中にいる」
密は、エイプリルに渡された自害薬もすり替えていると考えます。
千景を信じさせるために、その薬を飲んでまた記憶を失う覚悟です。
「……思い出は、また作ればいい。みんなは受け入れてくれる」
「……これで証明されたら、千景も信じてくれる。家族がみんな取り戻せる」
薬を飲もうとする密を、制止する千景。
地面に割れた薬の匂いを嗅ぎ、オーガストの言葉を思い出します。
「この自害薬、甘~い匂いがするから、僕とディセンバーはお腹が空いたときにうっかり口にしないよう、要注意だな」
その薬からは、甘い匂いがしませんでした。
たった二人の家族を一気に失い、しかも悲しむことも許されず復讐に身を捧げた人生が終わりを告げました。
「……俺は……どうすればいい。たった一人になった家族のお前を裏切ったのは、俺の方だった」
途方に暮れる千景に、声をかけます。
「……もうエイプリルの家族はオレ一人じゃない、エイプリルはこれから新しい家族と新しい人生を生きるんだ」
「……オーガストが望んだように」
舞台に立って芝居をしてほしいと願うのは、密も同じでした。
ナルトとサスケの最強に萌える展開。
復讐に憑りつかれた千景が改心するシーンは、NARUTOが頭をよぎりますね。
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第26話 出所祝い
「みんな、ただいま!」
行方をくらました二人は、密と共に劇団に帰ってきました。
何も事情を説明しない千景に、すかさず監督さんが作り話の劇団七不思議でフォローします。
「……二度目はないからな」
左京さんの雷が落ちましたが、劇団のみんなは温かく迎え入れます。
「お帰りなさい、千景さん」
「主演がいなくなるとか、なしっすよ、千景さんの役なんすから」
いつもと変わらない、春組メンバー。
「失敗や過ちを許して受け入れるのも、家族の役割ですよ」
監督の小言は、混乱する千景に染みわたります。
春組の新公演をあさってに控え、ついに稽古を再開。
密から聞いた真実がショックな千景は、本調子ではありません。
それでも、リーダーの咲也は感動していました。
「お芝居しながら、初めて千景さんとちゃんと目があった気がします」
監督さんに、嬉しそうに言葉を漏らします。
この『家族』に入りたいよ。
希望へと繋ぐ、道しるべ。
MANKAIカンパニーには、それがある。
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第27話 ミラックス・スラックス
あっという間に公演初日。
千景の演技は崩れたままですが、もうすぐ本番が始まります。
「千景さん、大丈夫ですよ!いつも通りにやってください。オレたちが支えますから!」
「ミラックス~スラックス~!」
「リラックスな」
他のメンバーが、千景を支えます。
ところどころ演技が危うい千景ですが、メンバーのサポートもあり、なんとか最初の公演をやり切りました。
「初日としては上出来っすね!」
主演の千景を責めるものは、誰一人いません。
それでも、千景の表情は暗いです。
自分でも満足のいく演技ができていないのがわかっています。
「咲也くん、ちょっと……」
監督さんは、リーダーを呼び止めます。
「千景さんの様子が心配だから、ちょっと様子を見ててあげてくれるかな?」
元気な声で返事をする咲也の姿は、リーダーそのものでした。
サクサク咲也とフォーリーンラブ。
千景には悪いけれど、咲也を独り占めしたい。
未来に少し夢をみるなら、咲也とフォーリンラブで!
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第28話 二分の一
千景はスーツケースを持って、夜遅くに劇団を後にします。
自分なりのけじめとして、二度と戻る気はありません。
「ーー待って下さい!千景さん」
「どこに行くんですか?」
引き留めたのは、リーダーの咲也。
いつも通りのポーカーフェイスで適当にはぐらかしますが、今回ばかりはウソを見破られました。
「一番チョロイと思ってたら、肝心な時に見抜くんだな」
「俺はもう劇団にいる意味はない。だから去るだけだ。望み通り舞台には立ったし、もう十分だろう」
自暴自棄のような千景に、一つの提案します。
「いつものコイン勝負、しませんか?」
今まで勝負に勝ったことがない咲也。
勝負に勝ったら願い事を聞いて欲しいと、言葉を重ねます。
「……はい。どっちの手に入っているでしょう」
「……どっちの手にも入っていないと思います」
咲也の答えは決まっていました。
「千景さんは、絶対に負けたくない勝負は、二分の一の確立なんかにしなさそうだなって……」
結果、咲也は勝負に勝ちます。
勘弁してくれと言わんばかりに、千景は本音を漏らします。
「今日の俺の芝居を見ただろう。見ての通りボロボロだし、これ以上どうにもならない」
「このまま続ければ、劇団全体の評価に傷がつく。迷惑をかけるだけだ。主役を交代した方がいい」
今の千景を一人にしたくない咲也は、耳を貸しません。
すごく傷ついて、悲しんでいるからこそ、千景を助けたい。
「オレたちにできることはありませんか?オレたちじゃ、千景さんの助けになりませんか?」
そこまで親身になれる理由は何だと、千景は問いかけます。
帰ってきた言葉は「家族だからーー」
「千景さんの分も布団と枕持ってきました!舞台の上で一緒に寝ましょう」
咲也はニコニコしながら、たった一つの願いをぶつけます。
禁断のお泊まり会にお邪魔したい女子は、億千万。
エクゾジック・ジャパ~ンと、郷ひろみが嫉妬しています。
まばゆいくらいに輝いているお泊まり会ですね。
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第29話 安らげる場所
「さ、千景さんもどうぞ」
布団に横になりながら、過去の公演について語りだす咲也。
「毎回、公演が成功しているように見えたとしても、それは簡単にできたことじゃないんです」
「みんなが苦しんで、がんばって、乗り越えた結果なんです」
今まで、最初から最後までうまくいったことなんて、一度もありませんでした。
それでも、千秋楽では最高のお芝居ができたから、今回も大丈夫と励まします。
「千景さんは稽古でも最初からお芝居が上手だったし、何より今は、相手を見て芝居ができてる」
「ちょっと調子を取り戻せていないだけです」
咲也は、千景を勇気づけます。
以前のような稽古はできないと、言葉を絞り出す千景。
「大切な人に託された思いを、ずっと裏切ってしまっていた。その事実を知ってから、色々な感情があふれて制御できない」
「自分自身を許せない自己嫌悪で情緒不安定だし、ずっと覆い隠していた感情のせいで心が揺れるんだ」
「オズワルドを演じていても、オズワルドの感情がどんどん流れ込んでくるみたいで苦しい」
「今の状態では、感情を冷静に制御して、ポーカーフェイスを貫く詐欺師の役はできないだろう」
感情を吐露する千景に、咲也は自分が演劇を始めた理由を語ります。
「舞台の上に立って、自分の役をもらって、劇の中に入ることで自分の居場所があるって感じることができた」
幼い頃に両親を亡くした咲也にとって、劇団のみんなは『家族』同然でした。
自分が救われたように、千景にもそれを感じて欲しい。
「千景さんの居場所は、誰にも奪われません。ここにあります」
その言葉を待っていたかのように、聞き入る千景。
この劇団が、自分の安らげる場所だと気が付きます。
他人と一緒だと眠れないはずなのに、気が付いたら寝ていました。
「千景さん、おやすみなさい」
やがて、夜は明け、朝練に集まる春組のメンバーたち。
気持ちよさそうに寝ている二人を見て、つられるように一緒に寝てしまいます。
目が覚めた千景は、雑魚寝している状況にびっくり。
新しい家族なんだと、頭より先に、体が認めていました。
みんなの寝顔をパシャ!
脳内に永久保存ですね。
闇より紛れて盗撮する私は、心が踊っています。
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第30話 借りはきっちり
開演ギリギリまで稽古をする、春組メンバーたち。
あの一件から、千景の演技はどんどん良くなっていました。
他のみんなと息が合ってきて、舞台が一体感で包まれるような演技。
公演を重ねるごとに、千景の人気も高まります。
劇団のみんなと会話をする千景は、肩の力が抜けたようにリラックス。
仮面が取れたように表情が違って、生き生きと輝いています。
いよいよ千秋楽本番。
座長を務める千景のふてぶてしい挨拶が始まります。
「えー、皆さんには散々ご迷惑をおかけしましたが……」
「人に借りを作ったままでいるのは性分に合わないんだ。千秋楽できっちり返すから」
千秋楽の始まりを告げるブザーの音が、会場に響き渡ります。
この千秋楽のチケットはいくらですか~。
ヤフオクで買えませんかね。
2次元の壁が分厚くて、応援に行くことができず辛いです。
第31話 エメラルドのペテン師
連続殺人事件で捕まりそうになったオズワルドは、気球で脱走しようとして、不思議な魔法の国にたどり着く……。
オズワルドは住人に自分が住むための都を建てさせると、都がエメラルドになる魔法をかけると言い出す……。
緑のグラスのメガネをかけさせて、ペテンを魔法と信じさせたオズワルドは、都で悠々自適な生活を送り始める。
重い腰を持ち上げて、ようやく悪い魔法使いを倒す旅に出るオズワルド……。
旅に出るふりをしてとんずらしようと考えていたものの、リックが弟子にしてほしいと言ってついてくることに……。
オズワルドは時間を稼ぐため、まずはいい魔法使いたちに会いに行くことにする……。
オズワルドを疑いながらも、言いくるめられてしまう東の魔法使い。
そうして最後の西の魔法使いに会いに行く。
人心を掴んだオズワルドは、王様として振る舞うようになる。
願いを叶えてほしいとすがってくる民衆をカラクリでだましながら、貢物を巻き上げるオズワルド……。
リックにすべてをばらしてしまおうとしたオズワルド……。
やがて、オズワルドを怪しんだ西の魔法使いが、オズワルドに魔法勝負を申し出る。
これを機にオズワルドはとんずらしようと画策する……。
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第32話 幸福な記憶
動きが止まるオズワルドは、犯罪に手を染める前の幸福だった過去を思い出します。
そこには、罪への後悔と自分を取り戻した安堵からの満ち足りたような幸せな笑みがーー。
祈るようなリックの背後、遠くから近付いてくる小さな気球の影……。
こうして、千秋楽の公演は大成功を納めました。
鳴りやまない拍手の中、密は思いをはせます。
「……オーガスト、ずっとずっとありがとう。オレはエイプリルと、新しい人生を生きていく」
新メンバーを迎えた春組の第4回公演『エメラルドのペテン師』
控えめにいって、千景が最高を超えてましたね。
目をつぶっても、瞬きますね……千景の残像が。
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第33話 乾杯!
大成功を収めた千秋楽の打ち上げ。
乾杯の音頭の前に、千景が劇団のみんなに謝罪します。
「一度、きちんとみんなに謝っておきたいんだ」
「本当に申し訳なかった。そして、ありがとう。千秋楽の今日は、俺にとって久しぶりに幸せな一日だった」
監督さんをさらった事情は適当にはぐらかしますが、それは劇団を守るため。
「真実は、弱点にもなる。もし、密が生きていることが組織に知られたら、正体を知る人間は危険にさらわれる」
監督さんに、小声でそっと耳打ちします。
今回のウソは、優しくて思いやりに満ち溢れていました。
こうして、千景の心からの感謝の言葉を込めた一言で、乾杯はスタート。
盛り上がりの最中、真澄の携帯に着信が入ります。
実の父からでした。
アメリカから千秋楽を観にきていた父は、舞台の感想を伝えます。
家族のわだかまりも雪のように溶け、幸せそうな真澄。
一方で、密も冬組メンバーに話しかけます。
「知ってほしい。オレの過去のこと」
「もしかしたら、オレの過去を知ることは危ないかもしれない。すべてを話すのは無理かもしれない」
「……でも、いつか、オレの中で整理がついたら、みんなに聞いて欲しい」
いつまでも待ってるーー。
劇団のみんなは、密を温かく見守ります。
子供の帰りを待つ親のように、密からの言葉を待ちます。
事情を話してくれる、その時まで。
MANKAIカンパニーのみなさん、千秋楽お疲れ様でした。
荒ぶる乙女たちを代表して、ねぎらいの言葉を送ります。
きっと大丈夫!
劇団に立ちふさがるどんな困難も、乗り越えられるよ。
第34話 第二の人生
月の光が優しく降り注ぐ中、千景は密に語ります。
「千秋楽の舞台の上で、オーガストと三人でいた頃のことを思い出した」
「あのとき、ようやく本当の意味であいつの死を受け入れることができた気がする」
涙が頬を伝い、オーガストの安からな永眠を二人で祈ります。
「どうか……お節介で人の幸せばかり考える愛すべき俺たちのオーガストが、安らかな眠りにつけますように……」
吹っ切れたようにお酒を飲みます。
かつての相棒と一緒に。
あなたがいれば何も怖くないよ、千景。
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第35話 家族だから
千秋楽の翌日。
洗い物をしている監督さんに、千景は話しかけます。
「……そういえば、これからもここで世話になる予定だから」
「オーガストを守る誓いを果たすことはできなかったけど……」
「監督さんのこと、しょうがないから守ってあげるよ。俺たち、家族なんだろう?」
プロポーズのような言葉に動揺する、監督。
絶妙なタイミングで、玄関から訪問者がやってきました。
彼の名は九門。
秋組に所属する十座の弟です。
「兄ちゃん!オッ、オレ……秋組に入りたい!」
荷物をまとめてやってきた突然の訪問者は、また波乱を巻き起こすのかーー。
大本命の九門キタァッーーー!
次の物語は、私の推しキャラが主役です。
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千景の過去が開花した2部
ものすごい文字数でストーリーをおさらいしましたね。
千秋楽の部分は、感動をそのまま伝えられるように、要約などはしていません。
1年越しに密の過去も明らかになって、心のもやもやが晴れました。
本当の裏切り者はダレナンダ。
これからも『組織』の動向には、目が離せませんね。
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