出典 A3 / 公式サイト
女子のみんなー、イケメン役者は好きですかー。
私は2.5次元で生きているので、イケメンがいないと生活できません。
A3の2部も終わってしまいましたね。
ただ、絶対に3部はあると信じています。
続編に備え、第7幕の『ボーイフッドコラージュ』のストーリーをまとめました。
ネタバレも含みながら、アクセントとしてオタ女子の感想もあります。
それでは、泉田莇にキュンキュンしながらいってみましょー。
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【7幕】ネタバレとストーリーの感想
第1話 Re:ポートレイト
- 秋組の新メンバーに、居候の莇が立候補。
- 入団オーディションは、『少年時代の思い出』でポートレイト。
夏組の公演も終わり、次は秋組の番。
今度はどんな団員が入るのかーー。
盛り上がるメンバーをよそに、家出中で居候している莇は何か言いたげです。
「大変だ!会長がとうとうしびれきらせちまって、会のモン引き連れて、お前を連れ戻しに来るって!」
慌てた迫田が登場して、一同は騒然。
会長はヤクザ総出で、銀泉会の一人息子を探すようです。
「会の奴らだって暇じゃねぇんだ。ガキじゃねぇんだから、お前のために手間かけさせんな」
「うるせぇ。てめーには関係ねぇだろ」
銀泉会に所属している左京は、莇に家に帰って欲しいのですが……。
「つーか俺、秋組入るし」
家に帰りたくない莇は、寮があるMANKAIカンパニーに所属するつもりです。
左京は入団に反対しますが、聞く耳を持ちません。
「自分だけ好き勝手しやがって……」
来るもの拒まずの精神の劇団は、入団オーディションをします。
課題は、ポートレイト。
『少年時代の思い出』をテーマに、演出込みで10分の一人芝居。
一週間後、雄三さんが面倒をみてる舞台にまじって本番です。
観客のアンケートで一位になるのが、入団の条件。
秋組とヤクザと銃撃戦と……。
銀泉会の息子は、そうやって乙女のハートを射抜くんだよね。
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第2話 初稽古
- 莇の稽古が開始。
- リーダーの万里が莇の面倒を見ることにーー。
今日から、莇が稽古に加わります。
演技はまだまだですが、運動神経がよく、アクションが得意な秋組にぴったり。
「問題は莇の本気度だよな。今の莇のモチベーションは明らかに左京さんへの反発だけだし」
「これから、アイツがもっと純粋に芝居に向き合えるなら、化けるかもな」
可能性を見出す万里ですが、やる気の面で心配します。
監督の勧めもあり、秋組リーダーの万里が面倒を見ることにーー。
夜に自主練をする莇。
臣が夜食を作ってくれましたが……。
「こういうことされっと、なんつーか、困るからいい」
莇は、迷惑そうにその場を立ち去ります。
オカンパワーをもってしても、莇の心には届かない。
心踊るはずなのに……臣の手料理。
頑張れない日は、おみみのスコーンを食べて元気になろう!
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第3話 経験者は語る
- 一人芝居を万里に見てもらうことになった、莇。
莇が稽古に加わって数日。
左京は、坊のポートレイトに不安を感じていました。
「どうせ、いつかの摂津みたいに適当な芝居をして、あの人にこき下されて終わりだ」
ウソの自分史で一人芝居をする。
忙しい会長の代わりに莇の面倒をみてきた左京は、見抜いていました。
夜になり、莇は今日も自主練です。
しつこい万里に促され、途中までの成果を見せることにーー。
『少年時代の思い出』をテーマにした一人芝居は、全て作り話でした。
手っ取り早くお涙を頂戴して、観客のアンケートで1位を狙う。
莇は、ポートレイトに真剣に向き合っていません。
「作り話は本物にはかなわねぇ。特に経験の浅い役者がやると、どうしても薄っぺらくなんだよ」
万里に指摘されます。
やむをえず、明日の午後は万里と作戦会議。
万里レインボー。
万里がいれば、スーパーウルトライージーモードでよゆー、よゆー。
要するに、莇ファイト!
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第4話 ボーイフッド コラージュ1 / 摂津万里
- 万里のポートレイトを完全版でお届け!
- 本番3日前、莇のポートレイトは白紙に。
ガキの頃から、人よりなんでもうまく出来た。
スポーツテストも国語のテストも算数のテストも、なんでも一番しかとったことがない。
一番をとるたびに、家族も周りもやたらと俺のことをほめてくれた。
天才だ、なんでも出来てすごい、将来が楽しみだーー。
別に一番になるたびに特別何か努力をしたわけじゃないが、手放しの称賛に悪い気はしなかった。
でも、いつからだろう。
周りの視線が「また万里」から「どうせ万里」に変わったのは。
一緒に走るサッカー部のエースも、同じクラスの秀才気取りも、どうせ勝てないからと手を抜くようになった。
お決まりの一番に、家族のリアクションも次第に薄くなって、百点のテストもオール5の通信簿も、自分から見せることはしなくなった。
周りのすべてが急激に色あせて、手ごたえのないつまらないものになっていったのは、その頃からだ。
何もかもめんどくさくて、退屈で、ある日思い立って家出した。
このどうでもいい世界が突然息苦しく感じて、抜け出せるなら、行き先はどこでもよかった。
河原沿いを延々と歩いてどこか違う場所に行けば、きっとこんな最低な気分から解放されるんだろうと、そう思った。
昼過ぎから歩き始めて、そのうちに日が暮れて、街頭のない河原は冗談かと思うくらいに真っ暗になった。
さめたガキだった俺は、焦るでも怖がるでもなく、ただ急にバカらしくなっていった。
疲れたし、足元は見えねぇし、親に怒られんのもめんどくせーってなって、近くで拾ったタクシーに乗って自分で家まで帰った。
……あんなに歩いたのに、帰るときはあっという間だったのを覚えてる。
タクシーの窓から流れる風景を見ながら、ふと、俺の生きてる世界って全然狭ぇのかなって思った。
この狭ぇ世界の外にいる奴が、いつか俺をぶっ倒しに来るのかもしれないーー。
最近はすっかり忘れてたそんなワクワクするような期待が、不意に胸に湧き上がってきた。
俺のどうってことない家出で得たものは、外の世界にあるまだ見ぬ何か、まだ会ったことのない誰かに対する期待、それだけだ。
でも、それだけで十分だった。
まあ、その後たまたま家にいたねーちゃんがバカ高いタクシー代を払ってくれて、めちゃくちゃ殴られたのもいい思い出だ。
出典 A3 / 万里のポートレイトより
「俺だったら、プチ家出しました~程度の記憶の断片で作るけどな。少年時代の一人芝居」
万里のアドバイス。
「ポートレイトで客が観てぇのは、生身のお前の本気、役者としての可能性だ。ドラマチックな物語じゃねぇ」
本番3日前、莇のポートレイトは白紙にーー。
涙を誘う作り話で、一位を狙う作戦が台無しです。
一人芝居のヒントを探すため、過去と向き合う、莇。
「小さい頃の家出……正直よく思い出せねーけど、アイツにでも聞いてみっか」
どうしようもないほど熱烈に、莇のポートレイトに期待。
万里のアドバイスのおかげで、神回の予感がしますね。
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第5話 未完成コラージュ
- 莇の入団オーディション当日。
- 九門と椋の妖精ブラザーズは、緊張をほぐすため即興劇を披露。
「それより、なぁ、ガキの頃に家出したこと覚えてるか」
ポートレイトのヒントを得るため、親友に電話をする莇。
自分なりの答えを見つけられるのかーー。
あっという間に一週間後が経過し、今日が莇の入団オーディション。
他の劇団がポートレイトを披露するなか、莇の出番は最後です。
舞台前。
莇に話しかける二人の妖精の姿がーー。
「やあ。こんにちは!オレは舞台にすむ妖精だよ!今日はキミを《応援》するためにやってきたんだ!」
「やあ、こんにちは!オレは舞台にすむ妖精だよ!今日はキミを《失敗》させるためにやってきたんだ」
九門と椋の妖精ブラザーズは、即興劇を披露します。
笑いのパワーで、リラックスして欲しい。
夏組らしいエールを送ります。
ただ、莇は緊張していませんでした。
手をパタパタさせて、心の目でみても妖精に見えない二人に失笑。
エチュードに勇気をもらい?そのまま舞台に立ちます。
「六番、泉田莇」
「……五歳の時の話だ」
少年時代の思い出を語る姿は、他の参加者よりも堂々としてーー。
莇が話すのは、世話係の左京と出会う前の物語。
とりあえず、九門の妖精が可愛いすぎる。
所々、声が裏返る感じ、あれサイコー。
私の心はフェアリークモンによって揺さぶられています。
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第6話 ボーイフッド コラージュ2 / 泉田莇
- 莇のポートレイトを完全版でお届け!
俺は人生で二度、家出したことがある。
一度目は幼馴染の志太の付き添いだった。
志太は父親がいない家庭で育った。
家も近所で、片方の親はいないっつー境遇も似ていたこともあって、そいつとはしょっちゅう一緒に遊んでた。
もう兄弟みたいなもんだ。
家出のきっかけはささいなことだったと思う。
志太の母親が夜の仕事に出かけた後、留守番に付き合ってると、テレビで古い映画が始まった。
昔流行った映画らしいけど、題名も覚えてない。
ただ、少年グループが延々線路沿いを歩いていくってことだけ、やけに印象に残ってる。
それがなんだか知らないけど、志太の心に響いたらしい。
俺たちも冒険に行こうって言いだした。
今思えば、仕事で留守がちな母親に対するフラストレーションでも溜まっていたのかもしれない。
でも、その頃の俺にはわからなかった。
ただ面倒だなと思いながらも、俺は付き合うことにした。
決行は翌朝。
思いつく限りの冒険に必要な道具をリュックに詰めて、近くの廃線になった線路に向かった。
最初は調子よく進んでた。
冒険ってフレーズだけでテンションは高いし、遠足気分で持ってきたおにぎりだとかお菓子を食べて、歩き続けた。
最初のつまずきは志太がヘビを見つけて追いかけまわしたこと。
くねくね逃げるヘビを追いかけて、志太は見事にすっ転んだ。
擦りむいた膝と手の平から血がにじんで、志太本人も俺も大騒ぎした。
しかも、あれだけ準備万端だったはずのリュックの中には、ばんそうこうの一つも入ってなかった。
揃いも揃って二人とも。
しょうがないから水筒の水で洗うだけ洗って、作戦会議に入った。
議題はこのまま冒険を続けるか、引き返すか。
はしゃいだヘビを追いかけた挙句、転んであっさり引き返すっていうのは、志太にとってもプライドが許さなかったんだろう。
志太は続行を主張した。
俺も特に反対する理由はなかったから、志太に賛成した。
次のつまずきは、それから間もなく。
線路が突然途切れた。
はるか昔に廃線になったんだから、そうそうずっと続いているはずもない。
その先は歩道として整備されることもなく、当然雑草がぼうぼう生えてる。
大人ならそこで引き返す。
でも五歳の俺たちはバカという名の勇気を武器に突き進んだ。
自分たちの腰くらいまである草むらの中を。
当然、葉っぱだの小枝だのに引っかかれて手足は傷だらけだ。
でも、その時の俺たちは果敢にジャングルを突き進む兵士みたいな目をしていたと思う。
その日は秋の肌寒い日だった。
朝は晴れていた空が、歩くにつれてどんどん曇ってきていた。
そこで引き返しておけばよかったんだろう。
残念ながら、五歳の俺たちにはそれくらいの知恵がまだなかった。
それが最後のつまずきだ。
ぽた、ぽたと顔に雫が落ちてきたと思ったら、あっという間に土砂降りになった。
俺たちはさらに最悪なことに、リュックに傘とかレインコートの類を一つも入れていなかったのだ。
あれだけ準備は万端だったはずなのに。
おかげで全身ずぶぬれ。
靴下も靴も大量の水を含んで、歩くたびにぐじゅぐじゅと気持ちが悪い。
服は体に張りついて、顔にはとめどなく雨がしたたり落ちてくる。
雨を含んだリュックは重いし、周りを取り囲む草は全身にまとわりついてくるしで、とにかく最悪だった。
作戦会議は必要なかった。
俺たちは、言葉もなく来た道をとぼとぼ引き返した。
その後のことはよく覚えていない。
とにかく叱られて、怒鳴られて、翌朝は熱で頭がもうろうとしてた。
熱が下がって志太に会いに行ったら、あいつは俺よりひどいことになって入院してた。
今となっては、そんなのも全部あいつとの笑い話だ。
……で、それから今年でちょうど十年経った。
十年経って……俺はまた、今まさに家出してる。
今度は付き添いじゃなく、自分の意志で。
十年前の俺は今思い出してもマジでダセェと思うけど、あの時は必死だった。
今も、いや、今の方が数倍。
冒険でも何でもないけど、俺にとっては譲れない、大事なもんを守るための家出だ。
十年後、二十五歳の俺が今の俺を思い返したら、きっと、またダセェって思うのかもしれない。
でも、十五の今、この真剣さが今の俺にとってはホンモノなんだってわかる。
だから俺は、ダサくてバカな五歳の俺のことも、まあ、認めてやろうかと思う。
あの頃の俺は俺で、五歳の自分に何ができるのか、必死になって証明しようとしてたから。
十五の俺はこの家出で何を見つけるのか、まだ答えは出てない。
でも必ず見つけて証明してみせる。
俺が俺として生きる意味を……。
出典 A3 / 莇のポートレイトより
等身大の莇の良さが伝わる。
素晴らしい一人芝居でした。
莇と冒険に行き隊!
その家出は永遠に宝物。
尾崎豊の現代版『15の莇』
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第7話 ファン一号
- 正式に秋組に加わる、莇。
- 幼少期の莇と、左京が交わした約束とはーー。
莇は入団オーディションに合格しました。
「よかったな!おれがファン一号になってやるよ、あざみ!」
迫田は嬉しそうに話しかけますがーー。
「ケンさん、クソ左京のファン一号なんだろ?俺とどっちを一番に応援にしてくれるの」
まさかのヤクザハーレムルートに突入です。
入団にあたって、親御さんの許可をもらおうとする監督さん。
ただ、莇の家庭の事情で、一旦保留。
世話係の左京が責任を持つことで決着します。
親に内緒にするのには、ある理由がーー。
過去に会長に壊された。莇のメイク道具。
ヤクザの息子が劇団に入ると知ったら、何をするかわかりません。
月明りが劇団を照らす中、左京は小さい頃の坊を思い出します……。
「なー、左京!俺の夢……こっそり左京にだけ教えてやる!」
「絶対誰にも言うなよ!絶対だからな?」
左京さ~ん、まさか会長にバラしたんですか。
莇の夢をーーーーーー。
例え朝が来なくても、そこは死守しよ!
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第8話 メイクアップ
- 綴は、秋組公演のプロットを考える。
- 太一の妹のために、幼稚園で劇を披露することにーー。
「せっかくやるなら、メイクがガンガンできるのがいい」
秋組の新公演に向け、莇は内容のリクエスト。
話し合いの中、特殊メイクが活かせるゾンビとかアンデットが公演の軸になります。
綴は、さっそくプロットを作りますがーー。
「クソ左京の役を敵役にしてくれ」
「あいつ、稽古中でもネチネチうるせーし、敵の役だったらすげーやりやすくなりそう」
大物感が漂う、莇のリクエスト。
ヤクザの息子は度胸が違います。
翌朝。
「ヘルプッスー!秋組集合!」
慌てた様子の太一が、みんなを呼び出してーー。
明後日、太一の妹の幼稚園で、芸術鑑賞会があるとのこと。
予定していた劇団が来られないから、秋組全員で公演したい。
MAKNAIカンパニー、ついに幼稚園デビューか。
太一の妹スチルを期待してもいいのかな。
シャララ、愛しい妹のマリー。
あ、こっちは、ブラッククローバーでしたね。
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第9話 動物さん大集合
- 秋組、着ぐるみを着て幼稚園で劇を披露。
- 莇のポートレイトを誉める太一だが、ここにも家出経験者が……。
ヤクザが幼稚園デビューです。
強面軍団の秋組ですが、園長にある秘策があってーー。
出典 A3 / アプリ内のスクリーンショット
動物の着ぐるみで顔の怖さをカバーし、ポップな雰囲気を演出。
森の動物たちの劇は、大成功を収めました。
太一の妹も大喜び。
公演のお礼に、園長からお菓子と着ぐるみをもらいます。
劇団に戻り、アニマルコスチュームを倉庫にしまう太一と莇。
二人きりになった太一は、莇のポートレイトを誉めます。
実は、太一も家出経験者でした。
いくよ、いっせーのせー!!
ギャップ萌えサイコー。
着ぐるみの相乗効果で、ヤクザのシルエットが際立ちますね。
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第10話 ボーイフッド コラージュ3 / 七尾太一
- 太一のポートレイトを完全版でお届け!
五歳の頃、ずっと大好きだった隣の家の女の子が突然引っ越ししてしまった。
引っ越し当日はわんわん泣いて、しばらくふさぎ込んていた俺を、母親は小学校に行ったら友達もたくさんできるよと言ってなぐさめた。
俺はまたその女の子に会えるかもしれないって信じて、小学校にあがった。
でも、彼女はいなかった。
小学校には勉強のできる子、運動のできる子、話の面白い子、人気の男の子たちがたくさんいて、自分はそっち側じゃない影の薄い人間なんだって初めて気づいた。
なかなか友達もできなくて、さびしくて……。
そんな時いつも思い出すのは、隣の家の女の子のことだった。
それで、思い切ってあの子に会いに行くことにしたんだ。
親には反対されるから、当然ナイショ。
親同士がなんとなく話してるのを聞いてたから、引っ越し先の駅の名前だけは知ってた。
お年玉を軍資金に、初めて一人で切符を買って、電車に乗った。
駅員さんにおばあちゃんのところに行くってウソをついて、乗り換えの仕方も教えてもらった。
でも、肝心の駅までついたところで、そこからどこに行けばいいかわからなくなった。
右を向いても左を向いても、全然知らない景色。
通り過ぎるのは知らない人の顔ばっかり。
俺はその時、学校にいる時の比じゃないくらい猛烈にさびしくなって、わんわん泣きだした。
声をかけてきてくれたおばさんに交番まで連れていかれて、名前や電話番号を言ったら、しばらくして両親が迎えに来た。
帰りの車でいっぱい怒られたけど、家出の理由を話したら笑われた。
「あの子にその泣き顔を見せるつもりだったの?笑われちゃうわよ」
って言われて、すごく恥ずかしくなって後ろを向いた。
車のリアウインドウから、あの子が住む街をずっと眺めてた。
「太一が胸を張ってあの子に会えるようになったら、会いに行きなさい」
父親にそう言われて、ただ黙ってうなずいた。
友達をいっぱい作って、クラスの人気物になって……。
もしそんな自分になれたら、今度こそ胸を張って会いに行こう。
俺があの子と離れてどんなことをしてたのか、たくさん話してあげるんだ。
そう決心した後はもう振り返らなかった。
俺が前に進みきっかけをくれたのが、あの家出だ。
出典 A3 / 太一のポートレイトより
太一は家出のことや、過去に劇団を裏切ったことを話します。
やがて話はそれ、莇のファーストキスの話にーー。
「まずは、お付き合いする前に両親に挨拶して、二人でデートして、婚約してから、手をつないで……って順番があんだろ!」
見かけによらず、莇は純真。
これがヤクザの恋です。
太一の初恋の相手は、可愛い男子の幸。
(※気づいていない太一)
アカン、これは腐女子の血が騒ぐ。
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第11話 険悪な配役
- 新公演の台本が完成。
- 幸と莇は、大学のファッションショーの手伝いをすることに。
ついに新公演の台本が完成します。
今回の脚本はアンデットと戦うハンターの物語です。
ここは人を食らうアンデットが蔓延した世界。
アンデットを狩るハンターとして生業をたてている兄弟、イヴァンとロイ。
二人はアンデットのアジトを襲撃する作戦に参加し、ロイが命を落とした。
兄のイヴァンは復讐を誓う。
あれから三年・・。
イヴァンは弟を殺した赤目のアンデットを探していたーー。
今度は一人のハンターとして。
- 【主演】アベル役 / 莇
- 【準主演】イヴァン役 / 万里
- 【助演A】ビル役 / 左京
- 【助演B】レッド役 / 臣
- 【助演C】ロイ役 / 太一
- 【助演D】ドギー役 / 十座
主演は莇。
半分が人間、半分がアンデットのアベルは、人間の味方をします。
準主演は万里で、弟を失ったハンターのイヴァン役。
アンデットの親玉であり、アベルの父親、ビル。
敵のボスは左京が演じます。
順調にキャスティングは終了し、新公演に向け稽古を開始。
主演の莇は、クソ左京への敵対心がセリフにのって、役にリアルさが生まれていました。
初日の稽古が終了。
一成は、幸と莇に声をかけます。
「うちの天美の文化祭で友達がファッションショーをやるんだけどさ、今ヘルプの人材募集してるんだって」
「二人とも、スタイリングとヘアメイクで手伝っちゃわない?」
秋組の新公演は、限りなくバイオハザードの世界感。
ヤクザなんかじゃ物足りない、かっけー世界がそこにある。
きれいなヤクザなんか、マジ勘弁です。
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第12話ランウェイウォーク
- メイクの腕が認められ、莇はスカウトされるがーー。
大学のファッションショーを手伝うことになった、幸と莇。
「こっちメイクお願い」
「次の衣装は」
舞台の裏側は戦場でした。
出典 A3 / アプリ内スチル
やっとのことでやり抜き、今は休憩。
莇の仕事ぶりをみていたOBが声をかけます。
「カズくんに聞いたけど、メイクのキミ、まだ中学生なんだって?見た目もそうだけど、その腕も中学生のレベルじゃないよな」
「俺、ここのOBでフリーのヘアメイクやってるんだけどさ、中学卒業したら、俺のアシスタントのバイトする気ない?」
経験を詰める絶好の機会ですがーー、莇は断ります。
何やら思い詰めた表情をして。
今宵、月の下で私をメイクして下さい。
てか、プロポーズ待ってます。
ヤクザに嫁ぐ覚悟は、とうにできているから。
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第13話 選ばない選択
- ヤクザの家とやりたいことの間で揺れ動く、莇。
幸と莇の活躍により、大成功で幕を閉じたファッションショー。
そこに一成がやってきてーー。
「そういや、アザミンさ、さっきのバイトの話、どーして断っちゃったん?」
「……なんとなくわかんだろ。うち、ヤクザだから。跡目継げとしか言われねぇし」
莇は悩んでいました。
「ずっと親父の後継げって言われて育ってんだよ。俺だって、ヤクザの家に生まれて、他の仕事なんてできないと思ってる」
「それでも、メイクすんのが楽しくて、反抗して家まで出たのに、まだ中途半端な気持ちで迷ってる」
どっちも諦めきれなくて、選べない。
そんな気持ちを察した一成は、一つの選択を提案します。
それは《選ばない選択》
どっちかだけを捨てずに、選ばずに、全部を手に入れる。
ヤクザの家も、メイクの夢も、どっちも手に入れる方法があるはずだとーー。
このままじゃ終われない。
莇にメイクしてもらうまで、人生終われない。
キミじゃなきゃダメだから、夢を諦めないで!
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第14話 伝説のヤンキー
- ガラの悪い中学生に絡まれる、莇。
- かつて伝説のヤンキーだった十座が止めに入ってーー。
「俺とてめーのどっちが強ぇか、思い知らせてやるよーー」
不良じみた中学生に囲まれた莇。
己の拳で対抗しようとしますが……。
すかさず十座が止めに入ります。
百戦百勝の伝説のヤンキーを目の当たりにして、逃げ腰になったヤンキー中学生。
十座のおかげで、莇はケンカをせずにすみました。
「お前はもう劇団の一員だ。暴力行為で相手にケガさせたら、劇団にどれだけ迷惑がかかるか考えろ」
うまく撒けるようになれ、劇団の先輩はそう教えてくれました。
「そういえば、お前のポートレイトでガキの頃のこと思い出した。俺も同じようなことをしたことがある」
十座も家出経験者でーー。
ねぇ、こんな気持ちは知らなかった。
不良少年でも萌えるんだね。
ケンカ腰の莇を見かけるだけで、ほら体が熱くなる。
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第15話 ボーイフッド コラージュ4 / 兵頭十座
- 十座のポートレイトを完全版でお届け!
幼い頃から、周りの子供よりも年上に見られた。
大柄で不愛想な俺は、大人にかわいがられた記憶がない。
同い年の友達も俺を遠巻きにして、家族以外誰も寄り付かなかった。
目立つ外見のせいでケンカを吹っ掛けられることも多かった。
小学生の時、上級生のガキ大将から呼び出されたことがある。
因縁をつけられ、無視してると、お前の弟からボコボコにしてやろうかと脅された。
その瞬間、カッとなった。
九門は俺と違う。
体もそこまで大きくないし、明るく誰からも好かれていて、俺のことも慕ってくれてる。
そんな弟を傷つけるなんで、許せなかった。
にらみつけて、拳を握り締めた時、ガキ大将がひるんだように一歩後ずさりした。
その場所が悪かった。
呼び出す場所に、人気のない階段の降り場を選んだせいで、ガキ大将は階段を踏み外して転げ落ちた。
まずいと思ったが、泣きわめく声に教師が駆けつけるまで、俺はその場から動くことができなかった。
それからの記憶はあいまいだ。
校長室で、相手の親に頭を下げる母親の姿だけはよく覚えている。
ガキ大将は骨が折れていたらしい。
俺には一切怪我がなかったことと、ガキ大将が俺のせいだとわめいたことで、教師は俺が一方的にやったと決めつけた。
相手の親や教師の話を聞きながら、俺の手を握り締めていた母親の手が震えていた。
それに気づいた瞬間、俺は情けなさと悔しさで胸がいっぱいになった。
母親を傷つけてしまった自分に対する自己嫌悪、何もわかってくれない相手の親や教師に対する怒り。
そんなものがないまぜになって、俺は母親の手を振り払ってその場から飛び出した。
そのままがむしゃらに走って走って、土手にたどり着いた。
俺はそこでようやく足を止めると、橋の下にうずくまって、このまま一人で生きていくと決めた。
誰ともかかわらなければ、怖がらせることも傷つけることもない。
母親に迷惑をかけることもない。
そんな悲壮な覚悟を抱きながら、何時間もじっとしていた。
やがて日が暮れ始めて、腹が減ってどうしようもなくなった頃、不意に頭上から声がした。
「…ちゃん。兄ちゃん……」
顔を上げると、九門と母親がいた。
「帰ろう、兄ちゃん。帰ってあんみつ食べよう」
その瞬間、心底ほっとしている自分がいた。
自分を迎えに来てくれる人がいる。
自分を拒絶した世界に、つなぎとめようとしてくれる人がいる。
その事実が、自分にとって何よりの救いだった。
「ほらね、兄ちゃん、ここにいたでしょ?」
そんな得意げな言葉を聞いて、この土手が九門とよくキャッチボールする場所だったことに気づいた。
結局俺も、誰かが迎えに来てくれることを期待していたのかもしれない。
九門は俺の左手を強く握り締めると、母親のところまで引っ張っていた。
母親が俺の右手を握って、三人で並んで歩き始める。
母親の手はもう震えていなかった。
嫌な思いをさせてごめんと母親に謝ると、母親は俺が悪くないということを信じてると言った。
あの時手が震えていたのは、怒りで震えていたのだと。
俺はその時、心底思った。
変わりたい。
大切な人たちを傷つけない人間に。
大切な人たちを守れる人間に。
お前は悪くないと信じてやれる人間に。
自分じゃない、そんな誰かになりたい。
……俺が短い家出で手に入れたのは、人生を変えるための強い願いだ。
出典 A3 / 十座のポートレイトより
舞台の上では、違う誰かになれる。
だからこそ、十座は演劇に興味を持った。
家出をするために、十座は十座に生まれて、ここで魔法のように惹かれ合うんだ。
弟の九門と愛を見つける、兄の物語。
BLポートレイトとか、ないかな?
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【A3】泉田莇はピュアすぎて惚れる
ものすごい量の文章でお届けしましたね。
ポートレイトの部分は、感動をそのまま伝えるために完全版です。
ヤクザの坊、泉田莇。
アザミンと手をつなげるのは、両親に挨拶して付き合って、結婚してから。
優しいピュアボーイに、あのね、恋に落ちますね。
とりあえず、A3は私が生きているシンボルです!
▼【7幕】ネタバレの続きはコチラ!
▼5幕のネタバレと感想
▼6幕のネタバレと感想
▼7幕のネタバレと感想
【A3】ヤクザの坊とハッピーキス / 前半 ← 今ここ
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